監査証拠の要件・分類

基準

監査証拠の要件

内部監査人は、業務目標を達成するために、監査証拠となる情報を収集して分析を行う。監査証拠とは、内部監査人が状況の観察、人々への質問、及び記録の調査を通して取得する情報のことであり、内部監査人に、監査意見、結論、及び改善提案の為の事実的根拠を提供する。

「実施基準」2300:内部監査(アシュアランスおよびコンサルティング)の個々の業務の実施

内部監査人は、内部監査(アシュアランスおよびコンサルティング)の個々の業務の目標を達成するため、十分な情報を、識別、分析、評価および文書化しなければならない。

「実施基準」2310:情報の識別

内部監査人は、内部監査(アシュアランスおよびコンサルティング)の個々の業務の目標を達成するため、十分な、信頼できる、関連する、かつ有用な情報を識別しなければならない。

解釈指針(2310):情報の識別

「十分な」情報とは、思慮深い知識のある者であれば当該内部監査人と同じ結論に達するような、事実に基づいた、妥当で、かつ納得のいくものである。「信頼できる」情報とは、個々の業務に関する適切な技法の使用により入手可能な最善の情報である。「関連する」情報とは、個々の業務の発見事項や改善のための提言の基礎となるものであり、個々の業務の目標と合致するものである。「有用な」情報とは、組織体がゴールに到達するのを助けるものである。

以下、「信頼できる」情報と「関連する」情報について補足する。

(1)適切な監査技法を通じて取得可能な証拠は、信頼性が高い。

コピーよりも原本のほうが適切であり、伝聞証拠よりも直接入手した証拠のほうが信頼性が高い。監査証拠の意信頼性については、一般に次のようにまとめることが出来る。

より信頼性の高い監査証拠の分類
  • 証拠の取得方法
    • 観察、確認で取得した 証拠は信頼性が高く、質問で得た証拠は信頼性が低い。
    • 監査業務で取得した証拠は信頼性が高く、他人からの伝聞である証拠は信頼性が低い。
  • 証拠の性質
    • 裏付けとなる証拠は信頼性が高く、基礎的な統計である場合は信頼性が低い。
  • 証拠の入手先
    • 監査対象部門以外の外部機関である場合信頼性が高く、監査対象部門内である場合、信頼性が低い。
  • 証拠の形式
    • 証拠が書面であれば信頼性が高く、口頭であれば信頼性が低い。
  • 証拠の洗練性
    • 証拠が正式に文書化されていれば信頼性が高く、非公式のメモであれば信頼性が低い。

(2)監査証拠の関連性(適切性)とは情報と利用形態との関係を指す

ある特定の問題を証明もしくは反証する為に使われる意見や事実には、その問題に対する相応の論理的関係が保たれていなければならない。例えば、購入申請書に基づいた発注が行われているかを確認する為には、購入申請書と注文書を照合すればよい。(注文書は関連のある証拠である)一方、承認された注文書は、発注した商品が受領されているかということを確認するために関連性は無い。

監査証拠の分類

監査証拠は①物理的証拠、②供述証拠(口頭証拠)、③証拠書類(外部的証拠、内部的証拠)、④分析的証拠の4つのタイプに分類することが出来る。

①物理的証拠

人々や財産、事象等の観察をすることによって取得される証拠を指す。観察者による記録、写真、表、地図、グラフ等の形式を取ることが多い。

②供述証拠(口頭証拠)

供述証拠は、インタビューや質問への返答という形式を取る。それ自体では不完全であり、可能であれば文書化による裏付けを取ることが望ましい。

③証拠書類(外部的証拠、内部的証拠)

証拠書は監査書類においてもっとも一般的な証拠である。証拠書類は、組織体外で作成された外部的証拠書類と組織体内で作成された内部的証拠書類に分類することが出来る。一般に情報源から直接取得された外部的証拠が内部的証拠に比べて信頼性が高いとされている。また、監査対象部門の内部統制が有効であればあるほど、証拠書類の信頼性は高まる

④分析的証拠

分析的証拠は分析と検証によって得られる。主に計算によって所定の基準過去の運用、類似した運用との比較の上合理性を確かめる。

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