独立性または客観性の侵害(2)

基準

客観性が損なわれるアシュアランス業務のケース

「基準」独立性または客観性の侵害1130:A1

内部監査人は、以前に自らが職責を有していた特定の業務についての評価をしないようにしなければならない。内部監査人が過去1年以内に自らが職責を有した活動を対象として個々のアシュアランス業務を行う場合には、客観性は損なわれているものとみなされる。

  • 内部監査部門に転入した者や、一時的に内部監査業務に従事する者に、少なくとも一年が経過するまでは、以前に担当していた活動または自らが管理責任を有していた活動に対する監査を担当させるべきではない。
  • そのような監査を担当させることは客観性を侵害するとみなされる。該当する場合は、個々のアシュアランス業務の監督及び結果の伝達において、特段の考慮が払われるべきである。
チェック

内部監査人は過去一年以内において責務を有した分野の監査に関与してはならず、また、監査中の業務部門へ昇格(異動)した場合は、それらの業務の監査をしてはならない。もし、関与した場合には適切な報告と開示がなされなければならない。

アシュアランス業務の客観性と独立性を保つには

「基準」独立性または客観性の侵害1130:A2

監査以外のことで内部監査部門長が職責を有している職務を対象とする個々のアシュアランス業務は、内部監査部門外の者の監督下で行わなければならない。

  • 内部監査人は、定期的な内部監査の評価対象となるような、内部監査以外の機能や業務の責任を受け入れるべきではない。内部監査人がこの責任を負っている場合は、内部監査人として本来の機能を果たしていないことになる。
  • 内部監査部門、内部監査部門長または個々の内部監査人が、内部監査部門が監査を行うかもしれない対象業務の責任を保有している場合、あるいは経営幹部が、その業務を内部監査部門、内部監査部門長または個々の内部監査人に割り当てることを検討している場合、内部監査人の独立性と客観性は損なわれる恐れがある。

内部監査部門長は独立性及び客観性の影響を評価するにあたり、少なくとも以下の要素を考慮する必要がある。

  1. IIAの「倫理綱要」及び「基準」の要件
  2. 株主、取締役会、経営幹部、立法機関、公的機関、監督機関、及び公益団体等を含むステーク・ホルダーの期待
  3. 内部監査基本規程で定義された許容・及び制約される範囲
  4. 「基準」に規定されている開示が必要な項目
  5. 内部監査人が引き受けている内部監査以外の業務活動や責任を対象とした監査のカバー範囲
  6. (収入、費用、評判及び影響の観点から)、内部監査人が引き受けている内部監査以外の業務機能の組織体の中での重要性
  7. 内部監査人が引き受けた監査以外の業務の期間及びその責任範囲
  8. 職務分掌の妥当性
  9. 内部監査人の客観性がリスクに曝されたかもしれないということの履歴やそのほかの証拠の有無

  • 内部監査基本規程が、内部監査以外の業務を内部監査人に担当させることを制限している、またはそれを制限する文言を含む場合、その制限が必要なことについて経営者に明らかにし話し合う必要がある。経営者が内部監査以外の業務を内部監査人に担当させることを主張する場合、その問題について取締役会に明らかにし話し合う必要がある。
  • 内部監査部門が内部監査以外の業務を担当し、その担当業務が監査計画の一部に含まれている場合、内部監査部門長は以下の事項を考慮すべきである。
  1. 内部監査部門長が責任を有する内部監査以外の業務分野の監査を完結させるために、契約を締結した第三者や外部監査人を使うことにより、客観性の侵害を最小化する。
  2. 内部監査部門長が責任を有する内部監査部門以外の業務について、その業務を担当する個人が、その業務を対象とした内部監査に関与しないことを確認する。
  3. 内部監査部門長が責任を有する内部監査以外の業務について、その個々のアシュアランス業務を実施する内部監査人は、確実に、自ら経営幹部及び取締役会の監督を受け、また自ら経営幹部及び取締役会に評価結果を報告する必要がある。
  4. 内部監査人の内部監査以外の業務における責任と、その業務の組織体の中での(収入、費用、及びほかの適切な情報の観点からの)重要性と、その内部監査人と該当業務を監査した内部監査人との関係を開示する。
  5. 内部監査人が内部監査以外の業務に対して負う責任は、内部監査部門長に直属して行われる内部監査以外の業務に関連する内部監査報告書、及び取締役会への内部監査人の通例の伝達において開示されなければならない。その内部監査の結果は経営者やその他の適切なステーク・ホルダーと協議される場合もある。侵害の開示をしたとしても、内部監査部門長が責任を有する内部監査部門以外の業務を対象とする個々の業務は、内部監査部門外の者により、監督されなければならないことに変わりはない。
チェック

システムに対するコントロールの基準を提案することや導入前に手続きをレビューすることは、内部監査人の客観性を損なわない。しかし、システムに関して設計すること、導入すること、システム操作の手続きを起草する(ドラフトを作る)こと、操作に関わることは監査人の客観性を損なう。

コメント