内部監査の専門的実施の国際基準によると客観性とは内部監査人が自らの信念に基づき、偏向なく公正不変の判断をするという、精神的な態度のことである。客観性は内部監査が有効であるために不可欠な要素である。それは、内部監査人の判断に偏向が含まれるとすれば、監査対象部門及び監査利用者にとって信頼し得る情報を生み出し得ないからである。
「基準」1120:個人の客観性
内部監査人は、公正不変の態度を保持し、利害関係を有してはならない。
解釈指針(1120):個人の客観性
利害関係とは、信頼される地位にある内部監査人の専門職としての利害と個人としての利害が競合する状況のことである。このような競合する利害によって、内部監査人の職務を公正に完遂させることが困難になることがある。
- 利害関係は、非倫理的または不適切な行動に結びつかない場合でも存在する。
- 利害関係は、内部監査人、内部監査部門、および内部監査という専門職それぞれに対する信頼を損ないかねない不適切な外観を作り出す可能性がある。
- 利害関係は、内部監査人個人がその義務と職責を客観的に遂行する能力を侵害することもある。
- 個人の客観性とは、内部監査人が事故の業務の成果を真に確信し、品質について重大な妥協をせずに、内部監査(アシュアランス及びコンサルティング)の個々の業務を実施することを意味する。内部監査人は、専門職としての客観的な判断を侵害されうるような状況に置かれるべきではない。
- 個人の客観性を確保するために、内部監査部門長は以下のことを実施する。
- 潜在的あるいは実際に生じている利害関係や偏向を回避するように内部監査の要因の担当割りを行うこと。
- 定期的に内部監査の要因から潜在的な利害関係と変更に関する情報を入手すること。
- 実施可能な場合は、定期的に内部監査の要因の担当替えを行うこと。
- 個々の業務の伝達を行う前に、内部監査の業務の結果をレビューすることは、その業務が客観的に実施されたことの合理的なアシュアランスを確保することに寄与する。
- 内部監査人が一時的に監査以外の業務を実施しても、その報告過程で十分な開示を行えば、必ずしも客観性を損なうことになるとは限らない。しかしながらその場合は、内部監査人の客観性への悪影響を回避すべく、経営管理者と内部監査人には慎重な配慮が求められることになる。
- 内部監査人の客観性を侵害する業務と侵害しない業務は以下の通りである。
客観性を侵害する業務 | 客観性を侵害しない業務 |
・業務やシステムの設計、導入 | ・システムのコントロール基準の推奨 |
・手続き案の作成 | ・導入前のシステムの手前のレビュー |
・システムの運用 |
メモ
内部監査人が贈り物(少額の販促アイテム以外)の申し出を受けた時に要求される行動は、内部監査部門長または監査の責任者に連絡することである。
コメント